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蔵元日記vol.505【ご当地獺祭】

もうすでにホームページ上のお知らせ欄を読まれた方もいると思いますが、4月から様々な県で栽培された山田錦で造った獺祭を限定で発売します。獺祭は全国20府県から9,000トンから10,000トンの山田錦を調達しています。産地は兵庫県を中心に南は熊本から、北は宮城まで広がっています。勿論、山口県も1,000トン以上。 品種は全て山田錦ですから同じように見えますが、比べてみるとやはり違います。栽培年度によっても違いますが、産地によっても違うのです。大まかにいうとここ数年の山田錦は全国的にも米質が硬くなっていると感じていますが、今年は特に東の産地に行くほどこの傾向が顕著なようです。 この、年度と産地による違いの有る山田錦を原料として、私どもは獺祭を仕込んでいます。しかし、ワインのように年の違いによる出来不出来をそのまま受け入れるということは獺祭の場合しません。それなりに吸水歩合を変え、麹を変え、発酵経過を変えて、対処しながら酒造りは進みます。 ここはワインと日本酒の違うところです。ワインにとって「葡萄の産地が大事」と同じぐらいのウェイトで日本酒にとって技術が大事になります。おそらく私が聞いている範囲では、そのワインと酒の出来上がりに対する影響度としては、ワインはまずどこで栽培されたブドウか、次にその品種は何か、最後に誰が醸造したか(つまり技術)というワイン関係者が多いようです。(注) ところが、日本酒の場合は、最初に「技」、次に「酒米の品種」、その後に「その米の産地」、がきます。つまり順番が真反対なんですね。 それでは山田錦の産地はどうでも良いかと言うとそうは行きません。地域ごとに微妙な違いを見せる山田錦を美味しい獺祭に仕上げるにはそれなりに技がいります。そして、その製造の微妙な違いは個性として、残念な事に時にはキズとして、結果に表れるからです。 例えば、ただ単に「硬い」と言っても、硬くても消化性が良くて、一旦、溶けるとそのままどんどん糖にそしてアルコールに変換される山田錦もあれば、消化性が悪くて溶かしても表面上は溶けて見えるだけでなかなか糖にもアルコールにも変換しない山田錦もあります。 今年の山田錦も産地によってかなり違いますから、福岡の山田錦と兵庫の山田錦、そして栃木の山田錦、みんな適した麴も違えば発酵の誘導経過も違います。 その違いを「獺祭の卓越した技で同じ獺祭に仕上げる」??? そんなわけ、、、無いじゃありませんか!! 同じものになんかできません!! もし、それをしようとするなら、目標とする酒の仕上がりレベルを相当低いところで我慢するしかありません。そうです、70点の酒で良いとするなら、それもできるかもしれません。しかし、98点の獺祭を目指そうとするなら、最後に現れるその違いを許容せざるを得ないのです。 また、そこにこそ、米という自然の産物を使い人間が苦労して造る意義があると思います。つまり、必ず、獺祭はその年の違い、その産地の違いを身にまとって現れるのです。つまり、教育で人は変わるかもしれませんが、どんな環境で生まれたかはやはりその人の個性として現れるじゃないですか? それは仕方のないことですし、その中で環境を克服してきた人の人格の香り高さに感嘆する事もありますよね。 話は変わって、、、、、昔から「地元の米しか使いません」とか「兵庫県の特A地区で栽培された山田錦しか使いません」という話をよく聞きます。「それも有るよなぁ」と思いながら、技術的な面というか、獺祭のように美味しい酒の為ならすべての要素をそろえようとする立場からした時、違和感も感じていました。 「地元で栽培した米が良くないとしたらどうする」とか「今年の山田錦コンテストの一位は福岡県の甘木の米だったよなぁ」「でも、やはり兵庫の特A地区は良いね」「だけどそれがすべてとも言い切れないよなぁ」「でも、産地は大事だよなぁ」と思いながら議論を進めていく中で、T田君がこの「ご当地獺祭」の企画を思いつきました。 この産地の違いをそのままに、だからと言って「この米はこうだから仕方ない」というのではなしに、それなりに各県ごとの違いを受け入れながら最善を尽くした獺祭をその産地ごとにリリースする。「この各県ごとに微妙に個性の違う獺祭をご覧に入れるのも意味あるよなぁ」と、思い至ったということです。こんな思いで「ご当地獺祭」の企画はスタートしました。 まず、4月の福岡県産からスタートします。基本的にはその県内だけの販売の予定ですが、売り場で見つけられたら手に取ってみてやってください。また、産地以外の都道府県の方で「どうしても」という方は近くの獺祭販売店に相談してみてください。在庫が弊社にあれば時間はかかりますがお手元に届くように努力します。 (注)しかし、実際にワインを醸造している当事者と話すと、言われている話とは別にいわゆる「技」をいかに大切にしているかがわかります。このあたり、最後に位置付けている産地を大事にする獺祭と同じことを言ってるように思えます。


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